東大文科2類ってどんなところ?現役東大生が徹底解説!

【東大先生コラム】 東京大学文科2類とは?コラム

コラム概要

こんにちは!経済学部所属の東大先生ライターです。

東大には、文科1〜3類、理科1〜3類、という見慣れない分類があるのを知っていますか?

日本最高峰の大学である東京大学

大学でよくあるのは経済学部や工学部など学部による分け方ですが、東大では1、2年生はみんな教養学部に入ることになり、その2年間で自分のやりたいことを模索し、3、4年で新たに学部を決めて専門科目を学ぶ、というシステムをとっています。

1、2年の成績を元に3、4年の学部が決まるのですが、これは俗に「進振り」と言われ、いきたい学部にいくためにはきちんと成績を取る必要があるので、東大生が学校での勉強に苦しむ要因にもなっています(笑)。

逆にこの制度は、入学後に文理問わず様々な授業をとって知見を深めてから自分の学びたい分野を選ぶことができるという東大らしい魅力でもあります。実際毎年少なくない人数が文転や理転をしたりしています。

文科1〜3類、理科1〜3類。必修の違いなどの違いもありますが、これら6つの大きな違いはこの進振りにおける「行きたい学部にいくために必要な点数の差」だったりします。

例えば文科1類から法学部には低い点数で行くことができますし、理科3類以外から医学部へ進学するのはかなり厳しかったり・・・etc.

今回はその中でも私の所属していた文科2類について詳しくお話ししていきます!

東大文科2類の基本情報

偏差値

67.5。

これは文科1〜3類全部同じ偏差値となっているので、どの科類も実は難易度はほぼ変わらないです。

募集人数

文科2類の募集人員は353人。文科1類が401人、文科3類が469人であることを踏まえると東大文系の中では少し人数が少ないですね。

倍率と足切り

大抵の年はどの科類でも倍率が3割を超え、倍率を3割程度に調整するために足切りが行われます。

センター試験から共通テストに移行したあとも、例年通り足切りが実施されています。

しかし、文科2類が不人気で2.80倍にしかならず、文科2類のみ足切りが行われないという異例の事態なども起こることもあります。

受験科目

受験科目は東大文系はどこも同じです。

共通テストは5~6教科8科目(110点満点)を受ける必要があります。詳細は以下の通りです。

【国語】国語(200)

【数学】数IA必須,数IIB・簿記*・情報*から1,計2科目(200)

【理科】物基・化基・生基・地学基から2(備考参照)(100)

 ※理科は、「基礎2科目」または「発展2科目」から選択

【外国語】英・独・仏・中・韓から1[リスニングを課す](200[60])

《地歴》世B・日B・地理Bから選択(100)

《公民》「倫理・政経」(100)

●選択→地歴・公民から2科目

また2次の個別試験では4教科(440点満点)が課されます。

【国語】国語総合・国語表現・現代文B・古典B(120)

【地歴】世B・日B・地理Bから2(120)

【数学】数I・数A(場合の数と確率・図形の性質・整数の性質)・数II・数B(数列・ベクトル)(80)

【外国語】コミュ英語I・コミュ英語II・コミュ英語III(独・仏・中の選択可)[音声テストを課す](120)

東大文系受験で最も大きな壁と言われているのが、2次試験における社会2教科。これは難関国立大学の中でも東大だけ。私立だと社会か数学を選べることも多いですが、東大はどちらも課されます。

どの科目も高いレベルが求めるというのが、日本の最高峰たる矜恃なんだろうなあ、と思い、受験生時代に多い科目数に追われながらも自分を納得させていた記憶があります・・・。

最低点

最低点は以下のような推移を遂げています。

年度入試文1点数文1割合文2点数文2割合文3点数文3割合
202230254.9%30655.6%30555.4%
202133460.0%33761.2%33661.0%
202034462.5%33861.4%33961.6%
201935264.0%35865.0%34362.3%
201835564.5%35163.8%34462.5%
201735564.5%34963.4%34462.5%
※550点満点

2022年度の東大文系はかなり最低点が低いですね。年によって難易度の差がありますが、近年では6割程度解ければ合格できます。

最低点の推移には少し特徴があるのですがそれは後ほどお話しします!

難易度は文1の方が高いor高くないって本当?

「文科1類こそが日本の文系の最高峰!」みたいに思っている人もまだまだ多いと思います。しかし、その認識は近年あまり正しいとは言えません

以前は文1>文2>文3という最低点がセオリーで確かに文1が一番難関でしたが、上記の表からわかるように近年その差は年々縮まっており、2019年にはついに文科2類の最低点が1番高くなりました。(私はこの年に文2を受けて落ちてます・・・)しかし翌年の2020年にはその反動があってか、文2の最低点が1番低くなり、各種最低点の推移は読めなくなってきています。

ただ傾向として最低点が文1>文2>文3となる可能性が高い、かつ採点基準が違うという噂があります。そのため受験界隈を見ていると自信がなかったり絶対に東大に行きたい人は文3を選びがちなようであることは昔から今まで変わっていないと思います。

文科2類受けるなら数学強くないとダメ?

結論から言うと、ダメじゃないです。

私自身、大の数弱ですし、文2にも数学10点とかで受かっている人が実際にいます。結局最低点さえ超えれば文2には入れますから、別に数学で稼がなくてもいいんです。

ただ、確かに数学ができる人は比較的多いんだろうなと思います。というのも、あとでまた詳しく述べますが、文科2類は数学と親和性が強い経済学部に進学する人が多いので、元から数学が好きであったり得意な人が多いんです。

まあでもみんながみんな数学が好きだったり、得意だから文2にくる、あるいは経済学部に進学するわけではないので心配しなくて大丈夫です。

文科2類の学生生活はどんな感じ?

男子が多い!!!

東大がそもそも女子が少ない上、文2は特に女子が少ないんです。

2020年の文科2類の女子率は19.7%。文1が23.6%、文3が33.4%であることに比べると圧倒的に少ないですよね・・・。

実際私のクラスは文1と文2の合同クラスですが、女子5人中。文1が3人で文2が二人。ちょっと少なすぎですよね???そもそも中国語に女子が少なくて、クラスの女子が5人だけっていうのも問題なんですが・・・。

また、文2の学生生活の特徴としては、大学生になっても数学から逃れられません(笑)

経済学部に進むためには経済と数学がほぼ必修なので、大学生になっても微分とかしてます。つらい!!!!!

あと大きな特徴といえば「文ニート」の存在でしょうか。

実は文2は1年生のうちに1、2年で必要な単位を取り切ることが可能で、2年で全く単位をとらずに好きなことをして過ごすことを「文ニート」と言います。

頑張った人には相応のご褒美が待っているということですね!

文科2類の主な進学先学部はどこ?

ここまでで散々触れてきた通り、進振りにおいて文2は経済学部への進学が有利です。

例えば2016年の経済学部への第1段階選抜の点数を見てみると(進振りは2回に分けてやってくれます、2回目の方が点数は低く通りやすいです。)

文1が76.4、文2が73.6、文3が80.0、理系が76.4となっており、一応文2から行くのが1番楽となっていますが、実際文1とそんな変わらず文2から経済学部に行けない人も毎年一定数います。

第2段階選抜ではもう少し点数が下がるので70点前半の成績だと安心できますが、このぐらいの点数も東大生の集団である東大の中で相対評価によってつく成績であると考えると、そこそこきちんとやっていなきゃ取れない点数なので、文2に入ったからといって簡単に経済学部に行けるというわけでもないんです。

私はそれを怠けまくった1年生の前期終了後に気づいて、かなり焦りました。

ちなみに文学部などだと学科によっては点数がぐんと低いので、経済学部に行けなかった文2生はそこら辺に行きがちです。たまーに進振り留年する人もいるそうです。

文科2類の学生は卒業後どういう業界に就職する?

文2は多くが経済学部に進学するので、経済学部の就職先について話していこうと思います。

平成29年の経済学部生の進路を見てみると、まず大学院への進学者は21人で他の文系学部に比べるとやはり少ない状況です。法学部勢が官庁などにいく傾向が強いのに対し、民間企業などに就職していく人が大半です。

特に多いのは金融、保険業で、経済学徒らしい結果となっています。具体的には大企業の総合職、特に三井住友銀行をはじめとするメガバンク、三菱商事や丸紅をはじめとする商社、全日本空輸や東海旅客鉄道などインフラ系企業が多くなっています。

また、近年では外資系企業への就職も多く、アクセンチュアやデロイト・トーマツ・コンサルティングなどが人気になってきています。

ちなみに最近の東大では起業がブームとなっており、多くの東大生が在学中に起業をしています。東大発のベンチャー企業などもどんどん出てきており、その起業家たちの多くが経済学部出身となっています。

〜まとめ〜

今回の記事では文2にのみフォーカスしてお話ししましたが、入試における最低点はさほど変わらないにも関わらず、文1〜3にはそれぞれのカラーがあり2年間の学生生活を通してその違いは深まっていくように思えます。

とはいえ、どの科類も多様性が高いのでむしろ正直どの科類もそこまで大きな違いはありません。文科2類という枠組みの中は、他大学の学部の中よりもはるかに多様です。必ずしも経済学部に行くわけではなく、経済以外に関する興味も持っている人が多くいるからです。

一応経済学部に行きたいと思っている私はやはり1番行きやすい文2でよかったと思っているので、東大志望の受験生は、どの科類が受かりやすい・・・とか考えるよりも、自分の1番興味はありそうな学部に行きやすい科類を目指すのが1番かと思います!

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